酒種を起こす

酒種

酒種と聞くと、木村屋の酒種あんぱんが頭に浮かぶ人が多いのではないかと思います。
明治時代、酒饅頭の作り方にならって日本酒の酵母(酒種)からあんぱんを作ったのが木村屋の創業者だったそうです。

日本酒は米、麹、水の3つの材料から作られますが、私達の目には見えない世界で実はとても複雑な過程を経て作られています。

麹菌の役割

市販のイースト菌(パン酵母)は糖分をエサとして食べて分解し、アルコールを作り出します。

ですが酒種の場合、酵母のエサとなる糖分が原料となる米に十分に含まれていないため、麹に棲みついている麹菌がまず米のでんぷんを糖分に分解します。そしてその分解により産出された糖分を酵母がエサとして食べ、そこで初めてアルコールが作り出されます。この工程は、麹菌の働きなくしては成り立ちません。
これらが1つの容器の中で行われている“並行複発酵”と呼ばれる発酵法は、麹文化に馴染みがある国にのみ伝わってきたものです。

さて、そこで。
日本人である以上、酒饅頭のおいしさを知っている以上、酒種を起こさないわけにはいかないでしょう!

酒種を起こしてみる

酒種に関する資料を探し集めて酒種を起こした時の様子をyoutubeにアップしています。
酒種で仕込んだパンには、ヨーロッパに伝わる小麦酵母、ライ麦酵母、レーズン酵母等とはまた違った味わいがあります。
日本人に馴染みのある優しい味わいで、しっとり感、もっちり感のある懐かしい香りのパンになります。

酵母起こしに興味が無い方にとっては “???” となるような動画となっていますが、興味がある方は是非挑戦してみてください。

酒種起こしに向く季節は、少し肌寒い時期です。夏は室温が高すぎるため、温度を28℃以下に調節することができない場合はやめておいた方が無難です。